FBAって全部Amazonがやってくれるんですよね? 配送中の破損もAmazon負担なんですよね?
そう思うよね。でも実際には、“Amazonが決めた補填額”で、納得できないまま終わる──補填は申し訳程度と思っておいた方がいいと思うよ。
この記事はこんな人に向けて書いています
- FBA補填の仕組みに疑問を感じている人
- 理不尽な経験を“自分の声”として届けたいと考えている人
- Amazonというプラットフォームがもっと公平・公正になってほしいと思う人
FBA(フルフィルメント by Amazon)は、商品をAmazon倉庫に預けておけば、
保管・梱包・配送・返品対応まですべて代行してくれる便利な仕組みです。
一人暮らしの副業を続けるためには、欠かせない仕組みです。
もちろん、Amazon倉庫が一旦受け取り、保管から配送までAmazonが扱う以上、
「配送中の破損」もAmazonが責任を負う――
そう思っていました。
でも実際には、返品が発生したときに出品者が負担を被るケースがあります。
私が今回経験したのが、まさにそれでした。
この記事では、補填の扱いや補填額に納得がいかないときの対応について紹介していきます。
※商品の破損・紛失時の補填の申請方法や手順については、
他の方が詳しく解説されています。
本記事ではその「やり方」ではなく、
Amazonの闇とも言うべき構造的な問題にフォーカスしています。
- 「配送中破損」でも出品者が損をするケースの実例
- Amazonサポートの対応範囲と“担当部署が違う”問題
- 行政に相談できる「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」の存在
- 理不尽を感じた出品者が、Amazonをより良くするためにできる具体的な一歩
Amazonから補填される金額は“気持ち程度”で、
その算定はAIにより不透明な構造になっています。
理不尽を感じたら
デジタルプラットフォーム取引相談窓口
-オンラインモール利用事業者向け-
(公益社団法人日本通信販売協会)
へ報告を。
小さな声が集まれば、Amazonもより公正な仕組みに変わっていくはずです。
AIに判定される「補填制度」の仕組み
FBA(フルフィルメント by Amazon)に預けておけば、
出品者は「Amazonが責任を持ってくれる」と思いがちですが、
実際には返品処理の際にAIが自動的に補填金額を算定しています。
このAIは過去の最安値や販売履歴を基準に補填額を決めるため、
たとえ今の販売価格が3,980円でも、過去に1,000円台で販売された履歴があると、
補填額はその水準で固定されてしまうのです。
しかも、どの履歴を基準にしているのかは非公開。
出品者からは一切見えません。
ある日、FBAに納品していた商品が購入者から返品されました。
返品理由は「配送時の破損」。
つまり、Amazonが発送した途中で商品が壊れたということになります。
理由はともあれ、今までの経験では、基本的に、購入者への返金は“出品者負担”で全額返金。
少額商品の場合は商品は購入者のもとに残ったままということも。
少し理不尽は感じつつも、購入者からの返品はよくあることです。

ただ、今回は私が扱っている商品の中では、若干単価の高い部類。
いくら補填されるのかが気になり、セラーセントラルの「原価の管理」で確認したところ──

補填額はわずか1,054円。
仕入れ金額は2,280円、販売価格は3,980円です。
さすがにこれでは赤字です。
この商品、今でもAmazonでは3,980円で販売中。
“過去のどこかの価格”でも1,000円台で販売されたことはなく──
まったく、意味がわかりません。
(以下のグラフは、実際の販売価格推移の一例です)

補填の申請
補填金額はセラーセントラルの「原価の管理」画面から確認ができます。
Amazonの補填は、商品の原価に基づき算出されます。
この原価については、疑義がある場合は「原価の管理」から修正の申請をすることができます。
申請するをクリックし、希望する原価の金額を入力・購入時の領収書を添付することで申請は完了です。
「原価」 とは、製造業者、卸売業者や再販業者などから商品を調達するコスト、あるいは製造業者である場合は製品を生産するコストを指します。これには配送、取扱い手数料、関税にかかる費用、またはその他の費用は含まれません。 販売事業者が自己の原価を提供することを選択する場合、提出済みの金額を証明するために追加書類を提出することも可能です。 原価を証明する証拠として提出可能な書類の詳細については、原価の管理をご覧ください。(セラーセントラル 破損・紛失商品の返金ポリシー抜粋)
私もすぐに「原価の管理」から補填金額の修正を申請しました。
領収書も添付し、正しい仕入れ金額(2,280円)を証明。
しかし、結果は却下。判定まで、ほんの数秒。
完全にAIによる自動処理です。
──いや、もはやAIですらないかもしれません。
原価の管理の画面にはこんなメッセージが──
「申請された値はポリシーガイドラインの範囲外です。」

風のうわさでは、AIが算定した補填額の約2倍で申請すると、
それだけで自動的に“範囲外”として弾かれる仕組みになっているようです。
当然ながら、サポートに連絡しても
「担当部署が違うため対応できません」
どこに申し立てても壁にぶつかる。
まさに“AIが最終判断者”の状態でした。
📩実際にやり取りしたメール内容
私からAmazonへの申請メール
お世話になっております。 ASIN:○○○○○○(FNSKU:××××××××)の原価変更申請につきまして、 再度の申請を行わせていただきます。
前回の申請では領収書を添付済みでしたが、システム上で却下となりました。
本商品は、2025年4月に1個あたり2,280円(税込)で購入した新品商品です。 添付の領収書にはJANの記載はありませんが、Amazonの商品ページの商品名「(商品名) 」と 領有書記載の「(商品名)」は一致しております。
また、Amazon.co.jp上での現在の新品販売価格も3,980円前後で推移しており、 直近3ヶ月でのカート価格も3,500円程となっており 当該原価は実勢に即した妥当な金額と考えております。
購入者の返品理由も「配送中の破損」による返金で、FBAからの発送のため当方に責はなく、むしろFBAの管理に疑問を抱かざるを得ません。
原価管理のページから再申請はしましたが、お手数ですが、再審査および原価変更の承認をご検討ください。
Amazonからの回答メール
ご担当者様 Amazonテクニカルサポートよりご連絡いたします。
お問い合わせいただきましたFBA在庫の補てんについてご案内いたします。
ASIN:○○○○○○
誠に恐れ入りますが、Amazonが定めた原価に異議がある場合は、 原価の管理ページ内「申請する」より原価の申請を行っていただく必要がございます。
大変恐縮ではございますが、原価の判断につきましては担当部署にて対応しておりますので、 テクニカルサポートにお問い合わせいただいても、対応ができかねますことを何卒ご了承ください。
詳細につきましては、以下ヘルプページをご確認ください。
原価の管理 https://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/GN655EHATZUVWBC3
出品者様のご要望に沿いかねるご案内となり大変恐縮ではございますが、何卒ご理解賜りますようお願いいたします。
Amazon補填の闇と行政への通報
FBA納品した商品は、出品者ではなくAmazonがすべてを管理・処理。
にも拘わらず、返品・破損・補填の結果責任はすべて出品者に押し付けられる。
正当な補填を求めても、「原価の管理」からの申請は、AIでの自動判定で完結。
コメントを添える欄もなく、メッセージや証拠を提示して、
疑義を申し立てる仕組み自体がありません。
そして、テクニカルサポートに相談しても、返ってくるのはこの一言。
「担当部署が違うため対応できません」
FBAという仕組みの中で出品者がどこにも訴え出る場所がない構造。
形式的には「補填の申し立て制度」が整っているように見えても、
実際は機能しないように設計されているとしか思えません。
最終的に、私はこの件を経済産業省の「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」へ報告することにしました。
以下が、実際に送ったメール内容です。
AmazonFBAに納品した商品が購入者から返品されました。
返品理由は「配送時の破損」です。
当該商品:○○○○○○○○当該の商品はFBA(フルフィルメント by Amazon)からの発送となっており、Amazonの責において商品保管・梱包・配送が行われているはずです。
にもかかわらず、購入者への返金は出品者の負担として全額返金され、出品者のもとに商品が戻ってこないまま、商品の状態も確認できませんでした。
さらに、Amazon側が一方的に算定した補填金額(1,054円)のみ支払われ、正規の仕入れ金額(2,280円)を証明する領収書を提出しても金額は修正されず、サポートに問い合わせても「担当部署が違うため対応できない」との回答のみでした。
これは、Amazonが自社の判断で出品者の損害を一方的に確定させており、「優越的地位の濫用」に該当する可能性があると考えています。
当該商品の販売価格:3,980円(現在のAmazon最安値も同額)
当社の仕入れ価格:2,280円
Amazonが補填するとしている金額:1,054円以上の対応について、適切な是正・調査を求めます。
このメールには、
- 購入時の領収書
- Amazon商品ページのは印旛価格が判るSS
- サポートとのやり取りのメールのSS
- 「原価の管理」の申請却下画面のSS
を添付しました。
すぐには変わらない。でも、声を上げる意味
実はこれまで何回か、補填金額の異議申し立てをしたことはありましたが、一度も修正されたことはありません。
「大した金額でもないし、別にいいや」
──そうやって諦めていたのも事実です。
今回も正直、これで何かがすぐ変わるとは思っていません。
でも、こうした実例が行政に蓄積されていくことには意味があります。
いずれ「FBA補填制度の透明性」が議題に上がるかもしれません。
Amazonは世界的なプラットフォーム。
出品者ひとりの声は小さいですが、
同じように理不尽を感じている人の声が集まれば、
制度は少しずつでも変わっていくはずです。
Amazonは顧客第一主義を掲げています。
顧客という意味では、出品者も顧客のはずです。
購入者にとって都合の良い仕組みだけでなく、
出品者にとっても公平・公正な納得のいくプラットフォームになること。
それがせどりのすそ野を広げ
より健全なビジネスの土台を作ることにつながると、私は思います。
まとめ|声を上げるという選択肢
もしあなたもFBA補填で理不尽を感じたなら、
以下の窓口から行政に相談できます。
ここは、Amazonや楽天などオンラインモールに出店する中小事業者向けの公式相談フォームです。
一件でも多くの報告が集まることで、改善への動きが起きやすくなります。
補填の申請方法を紹介する記事はたくさんあります。
でも、「申請しても通らなかった人の現実」を書いた記事は、ほとんどありません。
この仕組みを変えるのは、怒ることではありません。
フォーラムで愚痴を言っていても、何も変わりません。
記録して、共有して、声を上げること。
購入者だけでなく、出品者にとっても
公正で使いやすいプラットフォームになるように。
私たちが行動することで、
少しずつ現実を動かしていけると信じています。
☎️デジタルプラットフォーム取引相談窓口からの連絡
記事公開後、実際に経済産業省の「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」から電話がありました。
最初は知らない番号(0120-088-004)だったため出ませんでしたが、後で調べると相談窓口。
最近は詐欺の電話も多く、私の実家でも詐欺被害にあったので、警戒して知らない番号は、すぐに出ずにネットで番号を調べることにしています。
🔗我が家の詐欺被害についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。よかったら読んでみてください。
👉【2025年9月末】総資産状況|父のPC詐欺被害と、趣味に救われた9月
再度の連絡がきたので、今回の件について話をしました。
内容は簡単な事情聴取のような形で、
今回連絡した件についての確認と、今後どうしたいかという確認。
提示された選択肢は2つ
- 意見上申のみ(参考意見として記録)
- 行政からAmazonに見解を求める
私は、②を選びました。
金額としてはわずかですが、今回の件を今後の改善につなげたいと思ったからです。
──なぜ、申請しても却下だったのか?
── なぜ、原価がこんなに安く設定されているのか?
この根拠を明確にできれば、今後同じような状況で困っている人の参考になるはずです。
Amazonに見解を求めるには、本件を経済産業省に上申し、経済産業省の判断でAmazonに質問を送付するという流れになるそうです。
Amazonから結果が返ってこない、返ってきても数か月から数年かかることもザラとのことです。
それでも、やらないよりやった方がいい。
やっぱり一歩を踏み出せば何かが動く。
そんな思いで、私はAmazonへ見解の確認をお願いしました。
私がせどりを始めたきっかけ。
「このままサラリーマンとして終わっていいのか?」という思い。
せどりや投資に一歩を踏み出したときの気持ちを少し思い出しました。
こんな小さな一歩ですが、Amazonがより良いプラットフォームになることを信じて。
※本内容は、実際にデジタルプラットフォーム取引相談窓口との
通話で得た筆者の体験に基づくものです。
回答内容や対応フローは時期や案件によって異なる可能性があります。
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